社会福祉法人「風の谷」が運営する自閉症者通所施設「やまびこ工房」(注1)の厨房で利用者さんの食事作りをしている「風の谷」事業部のメンバーがどんなふうに働いているのか訪問してきました。
晩秋とはいえ小春日和となった11月18日の午前、JR相模線番田駅に降り立ちました。

住宅街の中にある昔ながらのこじんまりとした駅から歩いて20分ほど。お地蔵さんが目印、と聞いてきたとおり、おだやかな顔をしたお地蔵さんが角でお迎えしてくれました。

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さて、さっそく食堂に入っていくと、シャッターが下りています。中からはとてもおいしそうな匂いがしてきました。 |
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ノックをしてドアをあけると、メンバーの関田さん、山中さん、そしてメイトの田辺さんが食事作りの真っ最中。オープンの11時半を前にフル回転、という感じで忙しく調理中でした。 |
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今日のシフトに入っている3人の他に、毎日3人体制で全部で8人のメンバーが交代で週に平均2回入っているそうです。メイトの田辺さんは4回!頼れる助っ人です。
短時間に多くの食数を調理していますが、3人ともとてもスムーズに動き回っています。「特に役割分担はしていないけれど、大体段取りが決まっているので自然に仕事を分け合っていますね」と山中さん。なるほど、配膳を終えたメンバーがいつの間にか使い終わった調理器具を洗っていたり、別のメンバーはポットにどんどんお湯を入れていたり。こうした連携プレーが出来るのもチームワークが良いからこそと思いました。
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気がつくとお皿に紙の名札がいくつも貼ってあります。
「それぞれ違う盛り付けがあるので」と関田さん。食にこだわる利用者のために、それぞれの方に合った調理方法や盛り付けで対応しているそうです。
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特別食と呼ばれる別メニューも作るそうですが、おかずの個数にこだわる利用者さんもいるとのことで、名札がついている分だけ「特別食」のようなもので、利用者さんにこんなに気を使っていることに感心しました。これでも「今日は特食が少ないから楽」ということでした!
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そうこうしているうちに11時30分。
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シャッターを開けたら、待ちかねていた利用者さんがカウンターの向こうに並び始めました。皆、とてもニコニコしています。本当に食事を楽しみにしているのがわかります。自分で味噌汁をよそう利用者さんも。カウンターに来る利用者さんに「こんにちは、○○さん」とにこやかに声をかけながら配膳していくメンバー。すっかり厨房になじんだ姿に、ここまで築き上げてきたメンバーの努力が伺えました。 |
利用者さんは三々五々、カウンターに現れますが、「こんな状態が2時ごろまで続くので、その間に交替で食事をしています」とのことでした。
ちょっと人が途絶えたところで、3人一緒に写真撮影。
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利用者さんは私たちに対して
あまり反応を示さないので、
コミュニケーションという意味では
とれていないと思いますが、
かといって拒否ということもないので
、
私たちのことを認めてくれているんだなぁ
と思って一生懸命作っています。
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・・・
と、その時「すみませ〜ん!」とカウンターから声が!
忙しい中を取材に応じて下さったメンバーの方々に感謝しつつ、12時過ぎに風の谷を後にしました。

キュービックには食を預かる事業部があと2つ。
本部食堂とラポールのメンバーとも、たまには交流会などを開いて献立の工夫などについて話し合ったらもっとバリエーションも広がるのでは、という話も出ました。
キュービック全体でこれからも協力しつつ、お互いが成長してそれぞれの仕事をより良いものにしていけたら良いと思いました。
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